前回、女性管理職が増えないのはなぜか―8つのポイントをご紹介しました。
そのうち一番上に掲げた「組織・上司」について、アンコンシャス・バイアス、固定的性別役割分担意識の観点から解説したいと思います。
昨今、よく聞かれるようになった言葉「アンコンシャス・バイアス」とは、「無意識の偏見」とも訳され、誰にでもある先入観、思い込み、決めつけ、つまり多くのバイアス(偏見)のことです。これは過去の経験や生まれ育った環境などから、自分自身では知らず知らずのうちに脳に刻みこまれ、身に着いた「ものの見方・捉え方」のことであり、価値観や信念の一部でもあります。咄嗟の判断や行動に現れることが多く、自然な反応として出ることが多いものです。
「固定的性別役割分担意識」もアンコンシャス・バイアスによるものです。
例えば、「私のパートナーはタクシー・ドライバーなので、子どもの面倒をほとんどみてくれない」と言われれば、頭の中では「私は女性」であり、「パートナーであるタクシー・ドライバーは男性」だと思ったりしませんか。また「男性は外で仕事」「女性は家で家事・育児」であるとか、「男性は主要な業務」「女性は補助的業務」等のように、性別で生き方や役割を固定してしまう意識のことを「固定的性別役割分担意識」と呼んでいます。そして日本にはこうした意識が根強く残っていると言われています。
会社における管理職層は多くの男性によって占められており、管理職にはこんなバイアスが働いてはいないか、今一度確認してみる必要があります。例えば・・・
「女性は感情的だから、管理職に向かない」
「女性は管理職になりたがらない」
「育児中の女性には責任ある仕事は務まらない」
「育児は大変だから、育児中の女性部下には負荷の少ない仕事を与えるべきだ」
「女性のアイディアはあまり使えない(自分の価値観とは合わない)」
などです。本当にそうでしょうか。
先日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の元会長・森喜朗氏が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」という発言をして、辞任にまで追い込まれました。これも、「女性=話が長い」「時間がかかる会議はよくない」といったアンコンシャス・バイアスが影響しています。
管理職がバイアスを持ったまま部下と接し、育成・評価を行うことは、優秀な人材が能力を発揮できる機会を奪うばかりではなく、多様なアイディアが活かされず、結果として組織の生産性や競争力を低下させることにつながります。また、昨今は社会のジェンダー・バイアスに対する意識が高まってきています。思い込みや偏見をもったままの判断は、管理職自身の立場さえ危うくすることにつながります。
アンコンシャス・バイアスは誰しもがもっているものです。まずは自分の中にある「アンコンシャス・バイアス」に気づくことが最初の一歩となります。管理職の方には、以下のような行動を習慣づけていくことをお勧めします。
そして、評価基準や方法については、可能な限り公開し、適切に運用していくことが重要です。
1. メルカリ「無意識(アンコンシャス)バイアス ワークショップ」の社内研修資料
メルカリでは、アンコンシャス・バイアスワークショップを2020年初めより、全マネージャー受講必須としているそうです。ファシリテータ―用のガイドもあるので、参考にできるのではないでしょうか。
2. Google Unconscious Bias@Work
Googleにおけるアンコンシャス・バイアス研修、経営陣の巻き込み方、ワークショップ動画、ワークショップの効果を知ることができます。こちらもプレゼンテーションスライド、ファシリテーターガイドが無料で公開されています。
3. Microsoft eLesson: Unconscious Bias eLesson: Unconscious Bias (microsoft.com)
無料で受講できるドラマ動画とクイズで構成されたコースです。
音声は英語ですが、スクリプトは日本語で書いてあり、こういうことあるなー、と非常に納得できるつくりになっています。アメリカでも育児をしている人に対してのバイアス、女性リーダーに対するバイアスがあるんだな、ということ、またそれに対する対処方法も学ぶことができます。
株式会社wiwiwでは学習時間約20分のアンコンシャス・バイアスeラーニングを提供しております。
手軽に全社員に受講させたい、学習履歴や学習効果を管理したい企業におすすめです。